第7回のブログで、
「産業廃棄物の収集運搬には、廃棄物の性状に応じた容器が必要です」
というお話をしました。
では、
水銀使用製品産業廃棄物
の場合はどうでしょうか。
水銀使用製品産業廃棄物と聞くと、
「水銀が入っているのだから、必ず容器に入れて運ばなければならないのでは?」
と思いますよね。
実際、蛍光ランプ、水銀体温計、水銀血圧計など、壊れやすいものについては、適切な容器に入れ、必要に応じて緩衝材を使用するなど、破損しないように運ぶことが非常に重要です。
しかし、
「水銀使用製品産業廃棄物は、すべて必ず容器に入れなければならない」
という規定になっているのでしょうか。
ここは法令を確認してみましょう。
水銀廃棄物ガイドラインを見てみます
環境省の「水銀廃棄物ガイドライン第5版」では、水銀使用製品産業廃棄物の収集・運搬について、
破砕することのないような方法により、かつ、その他の物と混合するおそれのないように他の物と区分して収集又は運搬すること
とされています。環境省
ここで重要なのは、
「必ず容器に入れること」
とは書かれていない、という点です。
求められているのは、
①破砕しないこと
そして、
②ほかの廃棄物と混合しないよう区分すること
です。
法令ではどうなっている?
廃棄物処理法施行令第6条第1項第1号ロでは、水銀使用製品産業廃棄物の収集・運搬について、
施行令第3条第1号ホの規定の例によること
とされています。e-Gov 法令検索
つまり、水銀使用製品産業廃棄物については、一般廃棄物に関する第3条第1号ホの規定を準用しているわけです。
その第3条第1号ホでは、
破砕することのないような方法で、かつ、その他の物と混合するおそれのないよう区分して収集・運搬すること
が求められています。
ここでも、
「必ずドラム缶や容器に入れなければならない」
とは書かれていません。
ただし、容器が不要という意味ではありません
ここは誤解しないように注意が必要です。
環境省のガイドラインの解説では、水銀使用製品産業廃棄物が破損しないよう、
品目ごとの形状、大きさ、材質に適した容器に入れるなどの破損防止措置
をとるよう示されています。環境省
例えば、
- 廃蛍光ランプ
- 水銀体温計
- 水銀血圧計
- 水銀を使用した計測機器
などは、非常に破損しやすいものです。
こうしたものを裸のまま荷台に積むというのは、適切とはいえません。
容器や専用ケースを使用し、必要に応じて緩衝材を入れるなどして、
絶対に破損させない
という運搬方法を考える必要があります。
では、大型の機械はどうする?
一方で、水銀使用製品産業廃棄物の中には、
大型の機械や設備
もあります。
例えば、大型のボイラーや計測設備など、通常のドラム缶や容器には到底収まらないものも考えられます。
そのようなものまで、
「何が何でも容器に入れなければならない」
ということになると、そもそも運搬できません。
このような大型製品については、
破砕しないこと
他の廃棄物と混合しないよう区分すること
という法令上の基準を満たしたうえで、製品の形状や大きさに応じた方法で運搬することになります。
つまり、状況によっては、
車両への直積み等の方法を検討することもあり得る
ということです。
ただし、その場合でも、
「荷台にそのまま放り込めばよい」
ということではありません。
転倒しないよう固定する。
他の廃棄物と混載しない。
破損のおそれがない積み方をする。
必要に応じてシートや仕切り等を使用する。
こうした措置を講じて、
水銀使用製品を破損させない運搬方法
にしなければなりません。
大切なのは「容器そのもの」ではありません
水銀使用製品産業廃棄物の収集運搬で本当に重要なのは、
「容器を使ったかどうか」
だけではありません。
もっと大切なのは、
水銀使用製品を壊さないこと。
そして、
他の廃棄物と混ざらないように運ぶこと。
です。
小さくて壊れやすいものなら容器に入れる。
大型で容器に入らないものなら、その形状に応じた方法で破損を防ぎ、区分して運ぶ。
つまり、
廃棄物の形状・大きさ・性状に合わせて運搬方法を考える
ということですね。
産廃収集運搬業の許可申請では、
「容器あり・なし」
だけを見るのではなく、
実際にどのような廃棄物を、どのような状態で、どのように安全に運ぶのか
まで考える必要があります。
ここが産廃許可申請の面白く、そして難しいところだと思います。
